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国際結婚をして海外に住んでいます。海外で不動産を購入するにあたり、頭金について日本に住む両親から援助を受けたいと考えています。日本の贈与税の対象となりますか?

はい、贈与税の課税対象となります。
贈与者(ご両親)が日本居住者の場合は、受贈者(ご相談者様)が日本の贈与税を申告納付する必要があります。なお、海外不動産の購入については、住宅取得資金の非課税枠を使うことはできませんのでご注意ください。

贈与税がかからない形で援助を受けるには、どのような方法がありますか?注意点と併せて教えてください。

贈与税への対策として、取り得る方法は次の3つがあります。

(1) 親子間での金銭の貸し借りにする。
(2) 相続時精算課税制度を利用する。
(3) 資金の負担割合に応じて不動産の登記を行う。

「(1) 親子間での金銭の貸し借りにする」について、詳しく教えてください。

贈与は「あげた」「もらった」の意思の合致により成立しますので、金銭の貸し借りであれば、贈与税がかかりません。

ただし、金銭の貸し借りとしていても、返済の実績がない場合や、あるとき払いの催促なしの場合などは、贈与と認定される可能性がありますのでご注意ください。

親子間の金銭のやり取りが、贈与ではなく貸し借りと認められるには、

①現実的な契約条件の設定(返済額、返済期間、利息など)
②金銭消費貸借契約書の締結
③締結した契約条件に基づく実際の返済

が必要です。

「①現実的な契約条件の設定」について、どのような点に注意する必要がありますか?

返済期間については、返済完了予定時のご両親の年齢を考慮して設定してください。例えば、ご両親が120歳のときに、返済完了予定とする条件は現実的ではありません。

返済額については、ご両親からの借入金を含めた全ての借入金を返済した後の残額でも生活できる水準に設定してください。

利息については、ご両親との貸し借りであつても、市場金利を踏まえた利息を設定するのが安全です。

「②金銭消費貸借契約書の締結」について、どのような点に注意する必要がありますか?

海外送金の実行時に契約書が締結されていたこと、つまり、当初から贈与ではなく貸し借りであったことを、税務署に説明できるよう、公証役場にて契約書に確定日付を取ることをおすすめします。

「③締結した契約条件に基づく実際の返済」について、どのような点に注意する必要がありますか?

通常の銀行借入の場合と同様に、毎月返済が原則です。また、税務署に返済の事実を説明できるよう、銀行振込で返済してください。

両親が海外に口座を持っていません。毎月、海外送金で返済する必要はあるのでしょうか?

毎月、海外送金で返済するのは手間と費用がかかりますので、例えば、ご相談者様の口座の1つを返済専用口座にして、この口座に毎月返済し、年に1回まとめて海外送金という形でもよろしいかと思います。この場合は、返済方法について契約書に明記してください。