非居住者の贈与税の配偶者控除をズバリ解説!

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相談者:Aさん(女性・日本国籍)
外国籍の夫と結婚して、現在、海外に住んでいます。今年で結婚してから20年となります。夫は日本で事業をしており、生活の本拠が日本であるため、日本居住者として確定申告をしています。

この度、夫の事業拠点である日本か、私が現在住んでいる国のどちらかで、住宅を購入することを検討しています。

夫からは将来のことを考えて、不動産の名義を共有にしたいと言われていますが、贈与税の問題が心配です。何かいい方法はありますでしょうか?

回答:
◎まず前提として、ご主人が日本居住者ということになりますと、贈与を受ける側が日本非居住者であっても、日本の贈与税の対象となります。

ご主人から送金された生活資金に対しては贈与税の課税はありませんが、不動産や不動産購入資金などの贈与に対しては110万円を超えるときは、原則として、その超える部分について贈与税の課税がなされることになります。

しかしながら、結婚して20年以上の夫婦において、配偶者から居住用不動産や居住用不動産の購入資金を贈与を受けた場合は、110万円に加えて最高2,000万円、つまり、最高2,110万円を贈与税の計算から控除することができます。これを贈与税の配偶者控除といいます。

◎贈与税の配偶者控除を受けるための要件として、日本にある居住用不動産の贈与を受けるか、現金の贈与を受けて、日本にある居住用不動産を購入する必要があります。

そのため、Aさんがご主人から現金贈与を受けて、海外で居住用不動産を購入した場合は、贈与税の配偶者控除を受けることはできません。この場合、Aさんは納税管理人を選任して日本で申告納税をしなければなりません。

なお、100万円を超える海外送金については、全て税務署が把握しており、後日「国外送金等のお尋ね」が届く可能性が高いのでご留意ください。

また、贈与を受けた人(Aさん)が、贈与を受けた翌年の3月15日までに贈与を受けた居住用不動産に住んでおり、その後も引き続き住む見込みがあることが要件となります。

以上より、Aさんの場合、不動産の名義を共有にしたうえで、日本の贈与税の問題を回避するという点では、贈与税の配偶者控除を利用するため、日本での居住用不動産の購入を検討されるのがよろしいかと思います。

◎贈与税の配偶者控除を受けるための手続きは、下記を参照ください。

No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除
https://www.nta.go.jp/taxanswer/zoyo/4452.htm

なお、贈与税の申告の際の添付書類として求められる戸籍謄本について、ご主人が外国籍のために取れない場合には、日本で婚姻届を提出していれば、婚姻届出書の記載事項証明書を代わりの資料とすることができます。また、海外で婚姻した場合には、その国の政府機関などが発行した証明書を代わりの資料とすることが可能です。

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当コラムは2016年6月現在の税制に基づいて作成しており、読者の皆様のご理解を深めるために内容を簡素化している場合がございます。また、具体的な状況によって課税関係が変わる可能性がありますので、記載情報に基づいて行動される前に、弊所までご相談して頂ければと思います。

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