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昨年、海外送金をしたところ、「国外送金等のお尋ね」が届きました。なぜ税務署は海外送金を把握できているのですか?

100万円を超える海外送金(国内→海外、海外→国内の両方)については、国内金融機関がその内容を税務署に報告する義務があります。そのため、税務署は100万円超の海外送金を全て把握しています。

「国外送金等のお尋ね」は、通常、送金してから半年~1年後に届くことになり、送金資金の形成経緯や使途、また、贈与事実や申告漏れの有無などの回答を求められることになります。

最近の動向として、200万円前後の海外送金でも「お尋ね」が届いておりますので、まとまった資金を海外送金される場合は、将来「お尋ね」が届くものと想定されるのがよろしいかと思います。

なお、今後、海外送金とマイナンバーの紐付けが予定されておりますので、名寄せが容易となって、税務署にとっては効率的な税務調査が行いやすい状況が整備されていくものと予想されます。

「お尋ね」への回答にはどのような点に気をつける必要がありますか?

事実に基づいて回答してください。その際、その事実を説明できる証拠を添付資料として提出するのが望ましいです。

事実と異なる回答や不十分な回答の場合は、追加の質問を受けたり、場合によっては税務調査に発展する可能性があります。ご自身での対応が心配な方は国際税務に詳しい税理士に相談されるのが安全かと思います。

また、海外所得の申告漏れがある方は、「お尋ね」が届いてから申告しても加算税の軽減・免除を受けることができますので、お尋ねへの回答と併せて自主的に申告されることをおすすめします。

「お尋ね」への回答が、回答期限に間に合いそうもありません。回答期限を経過することに対してペナルティはありますか?

ペナルティはありませんが、税務署の担当官に回答が遅れる旨、連絡しておくのがよろしいかと思います。

「お尋ね」に回答しない場合はどのようなペナルティがかかりますか?

「お尋ね」の法的な位置付けは、税務調査ではなく行政指導ですので、回答しない場合でも特段の法的ペナルティを受けることはありません。

しかし、回答しない場合は、税務調査に発展する可能性がありますので、回答するのが合理的な選択かと思います。例えば、海外所得の申告漏れがある場合に、「お尋ね」の段階で申告すれば、加算税の軽減・免除を受けることができますが、税務調査の段階になると加算税の軽減・免除を受けることができません。

なお、最近の動向として、海外送金後に「お尋ね」を経ずして、すぐに税務調査が始まることもありますのでご留意ください。

過去「お尋ね」が届いていましたが、回答することなく放置していました。今からでも回答したほうがよいですか?

はい、今からでも遅くありませんので回答されることをおすすめします。

税務署から「国外財産調書の見直し・確認ついて」という文書が届きました。この文書への対応を教えてください。

この通知は、税務署が国外送金等調書などの基礎資料を検討して、①国外財産の申告漏れや②国外財産調書の記載不備の可能性があると判断した方に対して送付しているものと考えます。通知は行政指導の一環ですので回答は任意です。ただ、今後の税務署対応を考慮して、回答するとともに、国外財産調書の提出または修正をされることをおすすめします。

海外の金融機関から突然、口座を閉じる旨の連絡がありました。日本の口座へ送金することになりますが、これまで海外口座の利子や残高の申告をしていません。どのように対応すればよいでしょうか?

100万円超の海外送金は全て税務署がチェックしていますので、日本口座への送金により海外口座の存在が把握されることになります。お尋ねが届いたり、税務調査となる前に、過去5年分の修正(期限後)申告、および、国外財産調書(年末時点の国外財産が5,000万円超の場合)を提出することをおすすめいたします。自主的な申告となりますので、加算税の減免を受けることができます。

海外赴任が終わり日本に戻ります。海外赴任中の給与は妻とのJoint Accountに振り込まれていました。帰国にあたって、日本の私の口座に全額を送金予定ですが、気をつけることはありますか?

Joint Account の持分は資金提供割合で判断しますので、名義は奥様との共有ですが、実質的にはご主人の単独口座として捉えてよろしいかと思います。したがって、全額、ご主人の日本口座に送金いただいて問題ありません。
ただし、100万円超の海外送金は全て税務署がチェックしていますので、国外送金等のお尋ねが届く可能性があります。その際、送金資金の出所が全額ご主人の給与であることを説明できるように準備しておいてください。