国外財産調書のお尋ね対応をズバリ解説!

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5千万円超の国外財産所持、5539人 13年末時点

 国税庁は31日、2013年末時点で国外に5千万円を超える財産を持つとして、全国の税務署に「国外財産調書」を提出したのは5539人で、財産の総額は約2兆5142億円だったと発表した。

調書の提出は課税逃れを防ぐため、税務当局の目が届きにくい海外資産を把握するのが目的で、個人を対象に今年から義務化された。来年からは故意の不提出や虚偽記載に1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される。国税庁の担当者は「適正な課税を進めるための有力な武器になる」としている。

出所:日本経済新聞(2014年7月31日)より一部抜粋

国税庁より昨年の国外財産調書の取りまとめ結果が公表されました。提出件数からすると、昨年は国外財産調書の不提出や虚偽記載の罰則が導入されていなかったため、昨年末時点で海外資産を5,000万円超保有されて提出義務があっても様子見などで提出しなかった方が結構いらっしゃたのではないかと推測します。

>>国外財産調書制度の内容については、こちらをご覧ください。

税務署では昨年から国外財産調書の提出義務者に該当すると思われる人に対して、国外財産調書の案内書類を送付していました。そのため、案内書類が送られてきたにもかかわらず国外財産調書を提出しなかった場は、今夏以降「お尋ね」の送付や税務調査が行われる可能性が高いと考えられます。

税務調査の結果、海外資産から生じる所得の申告漏れを指摘された場合、修正申告などが求められ、通常は3~5年、最大7年分の追加納税が必要になります。また、ペナルティとして、これまで確定申告をされていた場合は、過少申告加算税が追加納税額に対して10~15%、確定申告をされていない場合(年末調整のみの場合を含む)は、無申告加算税が追加納税額に対して15~20%課されることになります。さらに、国外財産調書を提出されていない場合や、提出があったとしても海外資産に関して重要な事項の記載が不十分な場合には、ペナルティが5%加重されることになります。つまり、過少申告加算税は追加納税額に対して15~20%、無申告加算税は追加納税額に対して20~25%になります。

これに対して、税務調査が始まる前に、自主的に過去の所得の申告漏れを修正申告などした場合は、これらのペナルティが軽減されることになります。具体的には、過少申告加算税は免除、無申告加算税は5%となります。また、国外財産調書を期限後に提出した場合でも、修正申告とあわせて提出すれば、期限内に提出したものとみなされます。

 国外財産調書を昨年提出されていない方や国外財産から生じる所得の申告漏れがある方は、これを機会に自主的な申告を検討されてみてはいかがでしょうか?

>>海外所得の申告漏れへの対応は、こちら(ストック・オプションRSU海外預金利子)をご覧ください。

(2014年11月27日追記)
税務署から「平成25年12月31日分国外財産調書の見直し・確認ついて」という通知を受領された方は①国外財産の記載漏れ又は②国外財産調書の記載不備の可能性がございます。
本通知は行政指導ですので回答は任意ですが、今後の税務署対応を考慮して、修正のうえ提出期限内に回答されることをお勧めいたします。

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当コラムは2014年7月現在の税制に基づいて作成しており、読者の皆様のご理解を深めるために内容を簡素化している場合がございます。また、具体的な状況によって課税関係が変わる可能性がありますので、記載情報に基づいて行動される前に、弊所までご相談して頂ければと思います。

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