海外送金について、皆様からよくいただくご質問にお答えします!
ご質問.
米国駐在時に現地金融機関に口座を開設し、給与振込口座として使っておりました。帰国後も米国預金口座は解約せずそのままにしていましたが、今回、不動産の購入資金として まとまった資金が必要となったため、米国預金口座から4,000万円を日本に送金することを検討しております。なお、米国の預金口座は夫婦共同名義で預金残高は6,000万円、送金先の日本の預金口座は夫単独名義です。この場合、税金上どのようなことに気を付ける必要がありますか?
回答.
①贈与認定リスク
米国預金口座の残高6,000万円が100%御主人の給与収入を貯蓄したもので、夫婦間で贈与がなければ、今回の送金は御主人の資金の移動のため、贈与と認定されることはないものと考えます。
しかしながら、奥様の資金が、例えば預金残高の30%相当(1,800万円)拠出されている場合は、注意する必要があります。この場合、御主人の口座に送金することのみをもって贈与と認定されるリスクは小さいと考えますが、この資金を元手に不動産を購入する際、不動産をご主人の単独名義にするなど、資金拠出割合と異なる持分で登記した場合は、この時点で贈与と認定されるリスクが高くなります。
>>海外関連の贈与について、詳しくお知りになりたい方はこちらをご覧ください。
②所得の申告漏れ
帰国後は日本居住者となりますので、米国預金口座の利子所得について確定申告する必要があります。申告漏れがある場合に、国外財産調書(年末時点で5,000万円超の国外財産をお持ちの場合は提出が必要)を提出されていないときは、併せて提出することをお勧めいたします。この場合、資金拠出割合に応じて利子所得と国外財産を計算することにご留意ください。
>>海外口座の利子所得について、詳しくお知りになりたい方はこちらをご覧ください。
③お尋ねなど
海外から日本へ100万円を超える送金があった場合には、日本の受け皿となる金融機関から所轄税務署に国外送金調書が自動的に提出されます。その後、支払調書の提出を受けた税務署から「国外送金等に関するお尋ね」が届く可能性があります。
(お尋ねは、送金後半年から1年程度たった後に送付されるケースが多いといえます。)
お尋ねにて、送金の目的、送金原資のほか、国外での所得の有無を確認されることになりますので、事前に証拠書類をご用意して置かれることをお勧めいたします。
なお、海外送金に際して、税務署への届け出は不要ですが、送金額が3,000万円を超える場合には、日本銀行に報告をする必要がありますのでご留意ください。
>>お尋ねの対応方法について、詳しくお知りになりたい方はこちらをご覧ください。
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当コラムは2014年6月現在の税制に基づいて作成しており、読者の皆様のご理解を深めるために内容を簡素化している場合がございます。また、具体的な状況によって課税関係が変わる可能性がありますので、記載情報に基づいて行動される前に、弊所までご相談して頂ければと思います。