FATCAの個人口座への影響をズバリ解説!

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本日2014年7月1日から、日本の金融機関でFATCA(外国口座税務コンプライアンス法)の本格的な運用が始まります。では具体的に、日本の金融機関に口座をお持ちの個人の方にはどのような影響があるのでしょうか?皆様からよくいただくご質問をQ&A形式でお答えいたします!

>>FATCAの概要については、こちらをご覧ください。

Q.2014年7月1日から具体的に何が始まるのですか?

新規口座を開設する場合、開設時に米国人か否かの確認手続きが行われることになります。この確認手続きを「デューデリジェンス手続き」といいます。

Q.日本国籍ですが米国永住権(グリーンカード)を持っています。FATCA上の「米国人」に含まれますか?

含まれます。FATCA上の「米国人」とは、米国税法上の米国人であり、米国の市民・米国籍を有している人に限定されず、永住権(グリーンカード)を保有している人も含まれることなります。

Q.2014年6月30日以前に開設された既存口座はどうなるのですか?

金融機関にて、原則として2016年6月末までに、米国人口座に該当するか否か確認されることになります。但し、2014年6月30日時点の残高が100万ドル超の高額口座は、2015年6月末までに確認が行われます。

Q.米国人口座に該当する場合はどうなるのですか?

新規口座でも既存口座でも米国人口座に該当する場合は、初回は2015年3月末までに、日本の金融機関からIRS(米国内国歳入庁)に口座保有者の情報が報告されることになります。

Q.どのような情報がIRSに報告されることになりますか?

口座保有者の氏名、住所、納税者番号、口座番号、残高などが報告されます。なお、これらの情報の報告には口座保有者の同意が必要となります。

Q.口座残高が約1万ドルと少額です。この場合も確認手続きが行われ、IRSに情報が報告されるのですか?

金融機関によって取扱いは異なりますが、2014年6月30日時点で口座残高が5万ドル以下の場合は、基本的に確認・IRSへの報告の対象とはなりません。なお、5万ドル超100万ドル以下の場合と100万ドル超の場合では、手続きは異なりますが、米国人口座か否かの確認が行われ、該当する場合はIRSに報告されることになります。

Q.口座保有者が同意しない場合はどうなるのですか?

最終的にはIRSに報告されることになります。情報の具体的な流れは、次のとおりです。

①日本の金融機関がIRSに、口座保有者の同意が得られなかった口座の総数と残高の総額を報告
②IRSが国税庁に、個別の口座保有者の情報を開示するよう租税条約に基づき要請
③国税庁が日本の金融機関から、同意がない口座保有者の情報を調査権限に基づき入手
④国税庁がIRSに、同意がない口座保有者の情報を報告

Q.この情報提供の仕組みは世界共通なのですか?

スイスは日本と同様の仕組みですが、欧州5か国(イギリス・ドイツ・フランス・イタリア・スペイン)は別の仕組みを採用しています。情報の具体的な流れは、次のとおりです。

①欧州5か国税務当局は、情報提供の同意・不同意は関係なく、全ての米国人口座の情報を入手
②欧州5か国税務当局はIRSに、(個別の情報開示を経ることなく)自動的に米国人口座の情報を報告

なお、欧州5か国税務当局からIRSから報告するだけでなく、IRSから欧州5か国税務当局に米国の金融機関に開設されたこれら5か国の居住者に関する口座情報が報告されることになります。この点で、日本とスイスの、IRSに報告するのみの仕組みとは異なります。

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当コラムは2014年7月現在の税制に基づいて作成しており、読者の皆様のご理解を深めるために内容を簡素化している場合がございます。また、具体的な状況によって課税関係が変わる可能性がありますので、記載情報に基づいて行動される前に、弊所までご相談して頂ければと思います。

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