マイナンバーの海外資産税務への影響をズバリ解説!

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昨年の通常国会において、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(通称「マイナンバー法」)が成立しました。マイナンバーとは、日本国内に暮らす人の個人情報を1つの番号で分かるようにする制度で、まずは社会保険・税・災害対策の3分野で利用されることが検討されています。

今回は、マイナンバーの導入により海外資産の税務にどのような影響があるかを解説いたします。

目次

Q.いつからマイナンバーの導入が始まるのですか?

2015年の秋口に番号の通知が開始され、2016年1月から、社会保険・税・災害対策の3分野でマイナンバーの利用が始まる予定です。

Q.税の分野にはどのような影響があるのですか?

税務当局が、個人の所得や資産など税の負担能力を正確かつ効率的に把握することが可能となります。
具体的には、法定調書や納税申告書にマイナンバーが付されることにより、名寄せやチェックがマイナンバーを用いて行われることになります。また、現在は、個人の銀行口座情報は、法定調書の対象とはなっていませんが、所得税や相続税の申告漏れを把握するため、預金口座へのマイナンバーの付番が検討されています。

預金口座にマイナンバー義務付け 脱税など防止へ 政府検討

政府と銀行界は今後、政府税調の場で銀行口座へのマイナンバー登録の進め方などの具体的な議論に入る。15年10月までに結論を得て、15年末に決める16年度の税制改正に盛り込む方向だ。与党税調などとの調整を経て、16年1月召集の通常国会で所得税法や共通番号法、預金保険法など関連法の改正を目指す。

出所:日本経済新聞(2014年3月18日)より一部抜粋

納税者への影響としては、マイナンバーの活用より行政機関間で情報連携がなされることで、住宅ローン控除、医療費控除などの手続きの簡素化が検討されているようです。

Q.海外資産の税務にはどのような影響があるのですか?

日米欧など主要20カ国・地域(G20)は、納税者の国外財産の税逃れを防ぐため、各国の税務当局が海外預金の口座情報をオンライン上で情報共有する制度を2015年末までに導入することを目指しています。

海外口座情報を共有 課税逃れ防止、G20合意へ 国税当局間にオンライン

日米欧など主要20カ国・地域(G20)は資産隠しや税逃れを防ぐため、課税対象者が海外に持つ銀行口座の情報を得やすくする新たな仕組みをつくる。22、23日にオーストラリアで開くG20財務相・中央銀行総裁会議で合意し、2015年末までの導入をめざす。把握が難しい海外の口座情報を税務当局がオンライン上で提供し合う。主要国が連携し、課税回避の動きに歯止めをかける。

出所:日本経済新聞(2014年2月8日)より一部抜粋

この海外口座の情報共有制度の導入にあわせて、国外財産や国外財産から生じる所得について、マイナンバーを活用することが検討されています。
具体的には、マイナンバーの導入後(2016年1月以降)は、5,000 万円超の海外資産を保有する居住者が提出する「国外財産調書」にマイナンバーが付されるほか、海外口座の情報共有制度が実施された段階においては、国外から提供される利子や配当等の情報についても、マイナンバー付きで税務当局に提供されることが予定されています。

したがって、国外財産の情報が税務当局に全て把握される時代が、すぐそこまで来ていると言えます。

Q.現時点で行うべき対策についてアドバイスをください。

従来の、国外への「資産隠し」を狙った税務対策は無駄になり、今後は税務当局に国外財産を全て把握されるという前提で、合法的なタックス・プランニングを行う必要があると考えます。

現時点で行うべき対策としては、海外資産の申告漏れがある場合は、自主的に申告することをお勧めいたします。これは申告時期が遅くなるほど延滞税(原則:年14.6%)が発生し、さらに、税務調査を受けてから申告した場合はペナルティが加重される可能性があるためです。
弊所のクライアント様でも、申告漏れを自主的に申告することで、税務調査が来るのではないかといった心理的なご負担から解放されて安堵されている方が多くいらっしゃいます。

また、今年、国外財産調書を提出されていない場合は、今からでも遅くありませんので、提出することをお勧めいたします。これは、国外財産調書を期限後に提出した場合でも、修正申告(期限後申告)とあわせて提出すれば、期限内に提出したものとみなされるからです。

>>今年(2014年3月17日提出期限分)の国外財産調書を提出されていない場合の対応は、こちらをご覧ください。

(2015年6月8日追記)
OECDの共通報告基準(CRS)導入によるマイナンバーの海外口座への影響については、こちらをご覧ください。

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当コラムは2014年6月現在の税制に基づいて作成しており、読者の皆様のご理解を深めるために内容を簡素化している場合がございます。また、具体的な状況によって課税関係が変わる可能性がありますので、記載情報に基づいて行動される前に、弊所までご相談して頂ければと思います。

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