RSU・ESPPの税務調査対応をズバリ解説!

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RSUやESPPに関する税務調査対応のご相談が増えております。これは平成24年以降、外資系企業に、役員や従業員に付与したRSUやESPPなどのインセンティブ(経済的利益)の内容を税務署に報告することを義務づけたことが背景にあるものと考えます。税務署員としては企業からの報告と納税者の申告内容が相違していれば、確実に追加納税とペナルティを課すことができるので、税務調査を進めやすい分野であるからです。

外資系企業、特に米国系企業のインセンティブとして代表的なRSUとESPPの課税関係を整理します。

RSU(譲渡制限付株式)の課税関係

付与時(Grant) 課税なし
権利行使可能時(Vest) 権利行使可能株数×株価を給与所得として課税

※給与所得を算定する際の為替はVest時のTTMを採用
※Vest後に配当(Dividend)がある場合、通常、上場株式等の配当として分離課税
※配当をReinvestmentしている場合も申告は必要
※Vest後に株式売却益(Capital gain)がある場合、通常、株式等の譲渡(未公開分)として分離課税
※Vestした株式の年末時点の時価が5,000万円を超える場合は、国外財産調書の提出が必要(平成25年12月末以降)

ESPP(従業員持株購入権)の課税関係

割引額=取得株式数×株価-給与天引き控除額(又は積立額) を給与所得として課税

※給与所得を算定する際の為替は株式取得時のTTMを採用
※配当(Dividend)と株式売却益(Capital gain)の取扱いはRSUと同様に処理
※取得した株式の年末時点の時価総額が5,000万円を超える場合は、国外財産調書の提出が必要(平成25年12月末以降)

RSUやESPPに関して、文書または電話で税務調査の連絡を受けた場合の留意点は次のとおりです。

RSU・ESPPに関する税務調査対応の留意点

・税務調査は平日の9時~17時の間に自宅又は税務署で行われる
・税務調査の連絡を受けた後に、過去のRSUやESPPの修正申告をしても自主的な申告とは取り扱われず、過少申告加算等のペナルティの減免を受けられない
・特にESPPに関して会社から税務署に誤った報告がされているケースがあるので、不必要な税金が課されることを避けるため税務調査前に追加納税額の試算をしておくことが安全
※事例:会社が税務署に、従業員に付与した経済的利益を「割引額」ではなく「取得株式数×株価」と報告、結果として適正税額の約3倍の課税の連絡を受けた

税務調査の対象を選定する際の基本的思想は「取りやすいところから取る」ですので、RSUやESPPの申告漏れに対してはいずれ税務調査が入る可能性が高いと考えられます。弊所で受任した事案ではRSUの申告漏れが年30万円台でも税務調査が行われていますので、申告漏れ額が少額なので大丈夫と安心されないほうがよいかと思います。

また、RSUやESPPの申告漏れがある方で、国外送金のお尋ねや国外財産調書の案内書類を受け取られた場合は、税務署が申告漏れを把握している可能性が高いので(修正申告をしないと)税務調査は時間の問題と理解されるのがよろしいかと存じます。お尋ねは税務調査ではなく行政指導ですので、お尋ねが送付された時点で修正申告をすれば過少申告加算税等のペナルティの減免を受けることが可能です。したがいまして、RSUやESPPの申告漏れがある方は、お尋ねへの回答と併せて自主的に修正申告をすることをお勧めいたします。

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当コラムは2014年12月現在の税制に基づいて作成しており、読者の皆様のご理解を深めるために内容を簡素化している場合がございます。また、具体的な状況によって課税関係が変わる可能性がありますので、記載情報に基づいて行動される前に、弊所までご相談して頂ければと思います。

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