RSUの申告漏れへの対応をズバリ解説!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

今年の確定申告では、外資系企業の方から、ストック・オプションやRSUに関するお問い合わせを沢山頂戴いたしました。今回と次回の2回に渡って、ストック・オプション関連でよくあるご質問をQ&A形式で解説させて頂きます。

目次

ご相談内容

外資系企業に勤務しており、5年前から毎年、ボーナスの一環として米国親会社の株式をもらっていました。会社に確認したところ、RSUというストック・オプションの1種とのことです。
会社からは、RSUを給与所得とあわせて確定申告するよう連絡があったのですが、すっかり忘れてしまい、現在に至っておりました。
先日、税務署から、所得についてお尋ねが届き、驚いております。どのように対応するのがよいでしょうか?
なお、過去5年間は、年末調整だけで確定申告しておりませんでした。

>>RSUやESPPに関して「お尋ね」ではなく、税務調査の連絡があった方はこちらをご覧ください。

Q.そもそもRSUとは何ですか?ストック・オプションとは違うのですか?

RSUとは、Restricted Stock Unitの略であり、日本語では「譲渡制限付き自社株式取得権」と呼ばれています。米国企業で導入されていることが多い制度です。取得した自社株式はすぐに売却することができず、通常は、1年ごとに4分の1(又は3分の1)ずつ売却する権利を得ていくことに特徴があります。この売却する権利を得ることを「Vest」といいます。

これに対して、ストック・オプションは、一定の期間内に、あらかじめ定められた価格で、自社株式を購入できる権利のことをいいます。

したがって、会社から付与されるものが、RSUは自社株式(但し、すぐに売れない)、ストック・オプションは自社株式を購入できる権利という違いがあります。そのため、課税関係もそれぞれ異なることになります。

>>ストック・オプションの課税関係についてはこちらをご覧ください。

Q.RSUの課税関係について教えてください。

RSUは売却する権利を得た時は「給与所得」として、実際に売却した時は「譲渡所得」として申告する必要があります。

RSUは株式を付与されてもすぐに売却することができず、通常は、1年ごとに4分の1(又は3分の1)ずつ売却する権利を得ていくことに特徴があります。この売却する権利を得ることを「Vest」といい、Vestされた株式の時価相当額を給与所得として申告します。

>>RSUにより取得した親会社株式(米国上場株式のケース)を売却した場合の税金申告についてはこちらをご覧ください。

Q.税務署はどのようにRSUの申告漏れを把握したのでしょうか?

平成24年分から、会社がRSUを付与したことを税務署に知らせる制度ができたためです。

平成24年度の税制改正で「外国親会社等が国内の役員等に供与等をした経済的利益に関する調書」が創設されました。これは、外資系企業の社員に対して、本国親会社の株式などが直接付与されたことによる所得の申告漏れが多数把握されたことを背景とします。
そこで外資系企業の社員が、ストック・オプション権の行使などにより本国親会社の株式を取得(RSUなど直接取得した場合を含む)したときは、日本法人にその株式など一定事項を記載した調書を提出することが義務付けられました。

税務著は、この調書に基づいて、RSUが付与されたにも関わらず、確定申告されていない方を対象にお尋ねを送付していると思われます。

Q.では、お尋ねと過去のRSUの申告漏れについて、どのように対応すればよろしいですか?

自主的に期限後申告をされることをお勧めいたします。

これまで確定申告をされていないとのことですので、基本的には現在から遡って5年分、つまり、平成21年分から平成25年分について期限後申告をする必要がございます。

なお、平成24年分以降は、「源泉徴収票」と併せて「外国親会社等が国内の役員等に供与等をした経済的利益に関する調書」が会社から交付されていると思います。
この調書に記載されている経済的利益の額(取得した株式の価値。外貨ベースの場合は、取得時レートで円換算が必要)を給与所得として申告します。
なお、経済的利益の額が20万円以下の場合は、確定申告する必要がありません。

期限後申告の場合、原則、無申告加算税が15%課されますが、自主的な場合は5%に軽減されますので、早めの自主的な期限後申告をお勧めいたします。

>>RSUやストック・オプションの国外財産調書における評価方法は、こちらをご覧ください。

********************************************************************

当コラムは2014年5月現在の税制に基づいて作成しており、読者の皆様のご理解を深めるために内容を簡素化している場合がございます。また、具体的な状況によって課税関係が変わる可能性がありますので、記載情報に基づいて行動される前に、弊所までご相談して頂ければと思います。

コメント

  1. youping より:

    ESPP取得時の確定申告についてお聞きしたいのですが、こちらも20万円以上から申告必要になりますでしょうか?
    また所得が330万円から695万円のときは税率は20%であり、取得年から申告しない場合毎年無申告加算税が15%ずつ加算される
    という理解で間違っておりませんでしょうか?

コメントを残す

*

PAGE TOP