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遺産申告漏れ130億円も…在日実業家遺族に3億円追徴 東京国税局
パチンコ店などを経営し平成22年に死去した在日韓国人実業家、李日玉(イ・イルオク)氏の遺族らが、東京国税局から遺産約130億円分について相続税の申告漏れを指摘されていたことが25日、分かった。韓国での課税分を差し引いた追徴税額は、過少申告加算税を含め約3億円。すでに修正申告を済ませたとみられる。
関係者によると、李氏は韓国生まれで、来日後は都内などでパチンコ店やホテルを経営していた。生前、親族らとともに預貯金の一部数十億円を韓国内に持ち込み、親族らが投資にあてていたという。李氏が22年に80歳で死去した際、遺族名義の預金や不動産、株式は130億円超に上った。
遺族らは、これらの資産は相続税の課税対象にならないとして、東京国税局に日本国内の資産だけを申告。だが、韓国国税当局から預金の一部について「事実上、李氏が管理していた」と認定され課税されたため、東京国税局に韓国の資産を申し出たという。
韓国では、非居住者の遺産は韓国国内分にのみ相続税が課税される。在日韓国人が亡くなった場合、遺族は韓国と日本の遺産を合わせて日本で申告し、韓国で課税された分を差し引いて納税する必要がある。
出所:産経ニュース(2014年4月26日)
■ポイント解説
Q.海外にある遺産にも相続税はかかるのですか?
お亡くなりになった方、又は、ご遺族の方が日本にお住まいの場合、日本にある遺産だけでなく、海外にある遺産にも基本的に日本の相続税が課税されることになります。
海外にある遺産については、遺産がある国の税制によりますが、相続税制度があれば、基本的にその国の相続税が課税されることになります。 そのため、海外にある遺産については、日本の相続税と遺産がある国の相続税が二重に課税されてしまうことになります。この二重課税を解消するのが「外国税額控除」という制度です。
この事例では、お亡くなりになった在日韓国人実業家の方が、日本にお住まいであったため(「居住者」といいます)、日本にある遺産だけでなく、韓国にある遺産についても日本の相続税の対象となりました。
また、韓国には相続税制度があり、この方は韓国にお住まいではなかったので(「非居住者」といいます)、韓国にある遺産も韓国の相続税の対象となりました。
そのため、まず韓国で相続税の申告を行い、その後日本でも外国税額控除を利用して(日本の相続税額から韓国の相続税額を差し引いて)相続税の申告をして、最終的には日本では過少申告加算税を含めて約3億円の納税を行われたということになります。
Q.遺族名義の預金に相続税がかかることはあるの?
本当は亡くなられた方の預金なのに、単に名義だけがご遺族になっている預金(この預金を「名義預金」といいます)は、亡くなられた方の遺産として、相続税が課税されることになります。
名義預金かどうかは、相続税の税務調査にて、本当は亡くなられた方がその預金を管理していたのではないかという観点から判断されることになります。
例えば、 ・預金口座は誰が開設したのか? ・通帳や印鑑を保管していたのは誰か? ・贈与の事実はあったのか? などについて税務調査の際に説明する必要があります。
この事例では、韓国国税当局が預金の一部について、「お亡くなりになった方が事実上管理していた」と認定したため韓国の相続税が課税されることになったのです。
Q.海外預金の税金について気をつけることはありますか?
共同名義の銀行口座(joint account)は贈与と認定されやすいので気をつける必要があります。
共同名義にしただけで、直ちに「贈与」の認定を受けることはありませんが、例えば、ご夫婦の共同名義口座でもその資金全額を旦那様が負担している場合に、その口座の資金を奥様名義で投資をしたり、奥様名義で不動産を購入したり、奥様が生活費以外の高価な買い物をしたりする場合には、基本的に、夫婦間でも贈与があったとみなされて、贈与税が課せられることになります。これは、親子のケースでも同様です。
また、相続時においては、たとえ名義がご夫婦共同であったとしても、その資金全額を旦那様が負担している場合は、その預金口座全額を旦那様の相続財産として申告する必要があります。共同名義を理由に、相続財産として申告しない、あるいは海外だから名寄せができずバレないだろうと申告しないと、大きなペナルティを受けることになりますのでご注意ください。
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当コラムは2014年5月現在の税制に基づいて作成しており、読者の皆様のご理解を深めるために内容を簡素化している場合がございます。また、具体的な状況によって課税関係が変わる可能性がありますので、記載情報に基づいて行動される前に、弊所までご相談して頂ければと思います。