海外送金の贈与税対策(相続時精算課税)をズバリ解説!

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前回に引き続き、海外在住の子供に住宅取得資金を援助するケースを解説します!

ご質問.
米国に住む子供が不動産の購入を予定しているため、約3,000万円の資金援助を検討しています。
資金は、私の日本の銀行口座から、子供の米国の銀行口座に送金する予定です。日本と米国で贈与税がどうなるのか、また、合法的な贈与税の対策としてどのようなことが可能なのか教えてください。

回答.
1.日本と米国の贈与税

2.贈与税の対策

(1) 親子間での金銭の貸し借りにする方法

>>ここまで回答は前回の解説をご覧ください。

(2) 相続時精算課税を利用する方法

①相続時精算課税の概要

満65歳以上(平成27年1月1日以降は「満60歳以上」)の親から満20歳以上の子(平成27年1月1日以降は「孫」が追加される)への贈与が対象です。

年齢は贈与する年の1月1日が基準です。贈与時点ではないのでご注意ください。

2,500万円までの贈与なら何年に分けて贈与しても非課税です。2,500万円を超える分については、一律20%の贈与税がかかります。

両親それぞれの贈与が対象です。つまり、父親から2,500万円、母親から2,500万円の合計5,000万円まで贈与税がかかりません。なお、贈与された金額は、相続時に相続財産に加算して相続税を計算することになります。過去に納付した贈与税は、相続税から控除することができます。

制度の適用を受けるには、贈与を受けた年の翌年3月15日までに税務署へ「相続時精算課税制度」を選択する旨の届出が必要です。

相続時精算課税制度の届出書を提出すると、暦年贈与(年110万円の基礎控除)に戻ることができないので注意が必要です。

また、住宅取得資金の贈与については、通常の相続時精算課税に加えて次の2つの特例が認められています。

a)相続時精算課税の特例として、平成26年12月31日までに行われる住宅取得資金の贈与は、親の年齢制限がありません。したがって、65歳未満の親からの贈与も相続時精算課税の適用を受けることができます。

b)相続時精算課税とは別に、父母、祖父母から住宅取得資金の贈与を受けた場合、贈与税の非課税枠が準備されています。平成26年中の贈与の場合、一般住宅は500万円、耐震・エコ住宅は1,000万円まで贈与されても税金はかかりません。

この非課税枠は、建物と共に土地を取得する場合、土地の取得に贈与資金を充てたときでも利用することが認められています。但し、「建物と共に取得」が要件のため、贈与を受けた方が、一部でも構いませんので建物の持分を取得する必要があります。建物の持分の取得資金は、自己資金や住宅ローンでも大丈夫です。

②ご質問のケース

住宅取得資金の贈与を受ける子が米国にお住まいの場合についても、相続時精算課税の要件を満たしているときは、贈与について相続時精算課税の適用を受けることができます。ただし、a)相続時精算課税の年齢制限の特例、及び、b)贈与税の非課税枠については認められません。これは、これらの特例・非課税枠が国内の不動産の取得にのみ認められているためです。

また、日本に住む親が米国不動産を取得してから、米国に住む子に贈与する場合でも、相続時精算課税の適用を受けることが可能です。この場合、米国内の有形資産の贈与に該当するため、米国の遺産税が課税されます。日本の贈与税は、米国の遺産税を控除して計算することになります。なお、贈与者に相続が発生した場合に相続税額から控除できる贈与税額は、外国税額を控除する前の金額となります。

(3) 資金の負担割合に応じて不動産の登記を行う方法

資金の負担割合に応じて不動産の登記を行えば、基本的に「贈与」と認定されることはありません。したがって、相続時精算課税制度を利用できない方にとっては検討の余地がある方法といえます。

但し、実務的には、現地国での不動産登記手続きがあること、相続時の名義変更手続きに時間と労力とお金がかかることなどから、この方法を取られる方はそれほど多くないようです。

>>海外居住者の贈与税対策は、こちらをご覧ください。

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当コラムは2014年8月現在の税制に基づいて作成しており、読者の皆様のご理解を深めるために内容を簡素化している場合がございます。また、具体的な状況によって課税関係が変わる可能性がありますので、記載情報に基づいて行動される前に、弊所までご相談して頂ければと思います。

コメント

  1. H.W様 より:

    有難うございました。
    相続時精算については存じてます。子供の住所がオーストラリアに在住で
    本人は永住権があります。日本の法律で承認されますか
    2500+1000です

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