ジョイント・テナンシ-の課税リスクをズバリ解説!

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国外財産調書制度は、税務当局が国外財産からの所得の申告漏れを把握するために導入された制度です。そのため、納税者としては、国外財産について、国外財産調書の作成だけでなく、所得の申告漏れや贈与の問題についても併せて検討することが重要です。
今回は、国外財産のうち海外不動産について、国外財産調書の作成と課税上の留意点をQ&A形式で解説させていただきます。

Q.米国などで認められている、「合有」という不動産の所有形態はどのような特徴があるのですか?

「合有」(Joint Tenancy)とは、複数の人が平等に財産を所有する形態で、所有者の1人がお亡くなりになった場合に、通常必要な裁判所による相続手続き(Probate:プロベイト)を経ることなく、他の所有者に権利が移転することに特徴があります。

プロベイトには相当の費用と時間がかかるため、米国では「合有」は一般的な不動産の所有形態です。多くの日本人の方が不動産をお持ちのハワイの州法では、必要事項を記載した書類に死亡証明書を添えて提出するだけで、権利の移転手続が完了します。

なお、夫婦による合有の場合は、「夫婦合有」(Tenancy by the Entirety)という特別の形態となります。プロベイトを経る必要がないのは「合有」と同じですが、夫婦の一方が無くなると、(手続き無しに)自動的に残された配偶者に権利が移転することに特徴があります。

Q.プロベイト対策として、米国不動産を「夫婦合有」で所有しています。不動産の購入資金は、全て私(夫)の資金です。この場合、国外財産調書はどのように報告すればよいですか?また、税務上の留意点を教えてください。

日本の税法では、原則として、不動産を購入した時点で、御主人から奥様へ購入資金の50%相当の贈与があったものとされます。この場合、奥様は贈与税の申告が必要となります(御主人の相続の際には、相続財産から除外されます)。

そのうえで、ご夫婦それぞれの持分相当額が、他の国外財産とあわせて5,000万円を超えていれば、各自で国外財産調書を提出する必要があります。
なお、米国不動産から所得がある場合には、御主人と奥様で50%ずつを不動産所得として申告することになります。

但し、「夫婦合有」が、裁判所による相続手続き(プロベイト)を避けるためだけのものであれば、単なる名義借りとなりますので、基本的には奥様の贈与税の申告は必要ないと考えられます(御主人の相続の際には、相続財産として取り込む必要があります)。
これは、贈与は双務契約のため、あげる側ともらう側の双方の合意がなければ、そもそも贈与契約が成立しないからです。

この場合、米国不動産は、購入資金を提供した御主人の国外財産として、他の国外財産とあわせて5,000万円を超えていれば、国外財産調書を提出することになります。そして、米国不動産から所得がある場合には、全て御主人の不動産所得として申告することになります。

なお、米国の税法では、ご夫婦が両方日本人の場合は、特例によって購入時点では贈与とみなされず、売却時点で購入資金を出した方(本質問の場合は御主人)に売却代金が戻らないときは贈与とみなされることになります。

以上のポイントをまとめると次のとおりとなります。

■夫婦合有の米国不動産(夫が100%購入資金を提供)の取扱い

①夫から妻への購入資金50%の贈与
・妻は贈与税の申告が必要
・夫の相続財産から米国不動産50%相当を除外
・夫婦それぞれが、米国不動産50%相当を国外財産調書で報告
・夫婦それぞれが、米国不動産からの所得50%相当を確定申告

②名義借り
・妻は贈与税の申告が不要
・夫の相続財産に米国不動産100%を含める
・米国不動産は100%夫の所有として国外財産調書で報告
・米国不動産からの所得は100%夫の所得として確定申告

>>海外不動産の確定申告について、詳しくお知りになりたい方はこちらをご覧ください。

>>海外不動産の相続について、詳しくお知りになりたい方はこちらをご覧ください。

 近年、日本の税務当局は、米国、特にハワイの夫婦合有の不動産について関心を持っており、夫が100%購入資金を出している場合には、贈与税の支払いか、夫の単独名義に修正を求めるようになってきているようです。夫が亡くなる前に、夫の単独名義に修正した場合は、プロベイトが必要になります。したがって、相続対策として信託など何らかの対策を講じる必要がありますのでご留意ください。

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当コラムは2014年6月現在の税制に基づいて作成しており、読者の皆様のご理解を深めるために内容を簡素化している場合がございます。また、具体的な状況によって課税関係が変わる可能性がありますので、記載情報に基づいて行動される前に、弊所までご相談して頂ければと思います。

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