海外居住者の口座情報、毎年交換 税逃れを防止
富裕層の税逃れを防ぐため、海外に住む個人の金融口座の情報を多国間で交換する経済協力開発機構(OECD)の新ルールの詳細が30日、明らかになった。各国の金融機関に海外居住者すべての口座情報を毎年1回、税務当局に報告させ交換するのが柱だ。2015~16年の導入を目指す。
出所:日本経済新聞(2014年7月31日)より一部抜粋
富裕層の国外への資産隠しや国外財産から生じる所得の税逃れを防ぐため、国外財産の情報を各国の税務当局がオンラインで共有する取組みが進んでいます。日本居住者の場合、日本国外にある銀行口座の情報(名義人、住所、残高、利子、配当など)が、各国の税務当局を通じて日本の税務当局に提供されることになります。
この取組みは、米国で2010年に導入されたFATCA(Foreign Account Tax Compliance Act)を多国間に拡大して強化するもので、FATCAのForeignをGlobalに置き換えてGATCAとも呼ばれています。
>>FATCAの概要は、こちらをご覧ください。
>>日本の金融機関に口座をお持ちの米国人の方は、こちらをご覧ください。
日本では、海外口座の情報交換制度の導入にあわせて、国外財産や国外財産から生じる所得について、マイナンバーを活用することが検討されています。
具体的には、マイナンバーの導入後(2016年1月以降)は、5,000 万円超の国外財産を保有する居住者が提出する「国外財産調書」にマイナンバーが付されるほか、海外口座の情報交換制度が実施された段階においては、国外から提供される利子や配当等の情報についても、マイナンバー付きで税務当局に提供されることが予定されています。
>>マイナンバーの国外財産税務への影響は、こちらをご覧ください。
海外口座の情報交換制度の導入により、税務当局が把握する海外口座情報は質・量ともに高まることになるため、過去の確定申告に国外財産から生じる所得の記載がなかったケースなどでは、「お尋ね」の送付や税務調査が行われる可能性が高いと予想されます。
従来型の国外への資産隠しを狙った税務対策は無駄となり、今後は税務当局に国外財産を全て把握されるという前提で合法的なタックス・プランニングを行う必要があると考えます。国外財産の申告漏れがある方は、この機会に自主的に申告することを検討されてはいかがでしょうか?
>>海外所得の申告漏れへの対応は、こちら(ストック・オプション、RSU、海外預金利子)をご覧ください。
>>今年(2014年3月17日提出期限分)の国外財産調書を提出されていない場合の対応は、こちらをご覧ください。
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当コラムは2014年7月現在の税制に基づいて作成しており、読者の皆様のご理解を深めるために内容を簡素化している場合がございます。また、具体的な状況によって課税関係が変わる可能性がありますので、記載情報に基づいて行動される前に、弊所までご相談して頂ければと思います。
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