CRSに基づく海外資産の税務調査動向

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2018年9月末にCRS(Common Reporting Standard:共通報告基準)に基づき、日本居住者の金融口座情報約55万件が国税庁に提供されました。

2019年事務年度(税務署の事務年度は7月から翌年6月です)は、CRSで入手した海外口座情報に基づく税務調査の実質的な初年度です。

弊所には関連する多くのご相談が寄せられていますので、これらに基づき、2019年事務年度の海外資産の税務調査動向について簡単にコメントさせていただきます。

  • 2019年事務年度の税務調査の調査対象者選定において、実際にCRSで入手した海外口座情報が利用されている。
  • 税務調査は無申告額が大きい順に実施されている。金額感は無申告の海外口座残高が都市部で5億円前後、地方は2~3億前後で調査着手の模様。
  • シンガポール、香港所在の無申告海外口座が特に調査されている印象。
    (オーストラリア所在の預金口座は、CRS開始前から重点調査対象ですのでご注意ください)
  • シンガポール法人やBVI法人を利用したトラスト運用についても、Beneficiary ownerが日本居住者の場合は、CRSで国税庁に情報提供されている。
  • 海外口座保有者の登録された税務上の居住地が日本の場合は、強制的にCRSの情報交換の対象となるので、Relationship managerなど銀行担当者のアドバイスは慎重に検討するのがよい。
  • 自主的に海外資産の申告をした場合でも、海外資産残高が5億円以上のときは、資産形成の経緯(相続税・贈与税の申告漏れは)?、他に海外資産はないか?、税務処理は適切か?などの観点から税務調査が入る可能性が高い。

申告方針を検討される際の参考としていただければと思います。

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当コラムは2019年10月現在の税制に基づいて作成しており、読者の皆様のご理解を深めるために内容を簡素化している場合がございます。また、具体的な状況によって課税関係が変わる可能性がありますので、記載情報に基づいて行動される前に、弊所までご相談して頂ければと思います。

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