相続発生時の出国税対策をズバリ解説!

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相談者:Aさん
会社経営をしており、保有する株式(非上場)の時価総額は1億円を超えています。相続人は長男と次男の2人で、2人とも大学卒業後に一般企業に就職しました。この度、長男が海外赴任することなりましたので、長男の海外赴任中に、万一、私の相続が発生した場合の出国税の適用とその対策を教えてください。

Aさんが保有する株式の時価総額は1億円を超えていますので、Aさんは出国税の対象者です。そのため、Aさんの保有株式が相続によって、非居住者である長男に移転した場合、相続時の時価で株式の譲渡があったものとみなされて所得税(出国税)が課されます。なお、この所得税額は、相続税法上、債務控除の対象となります。

出国税の課税を避けるには、次の方法があります。

1)長男が株式を相続して、課税取り消しの手続きを行う。

出国税対象者(Aさん)の保有株式が相続により非居住者(長男)に移転した場合、この非居住者(長男)は、被相続人(Aさん)の死亡の年の準確定申告期限(相続人が相続を知った日から4か月)までに出国税(所得税)の申告・納付を行う必要があります。

その後、長男が相続の日から5年(申請により10年)以内に帰国した場合は、所得税(出国税)の課税がなかったものと取り扱われますので、更正の請求をすることで既に納付した税額の還付を受けることができます。

ここで、出国税課税は含み益に対する課税のため、準確定申告期限までに納税資金が準備できないことも十分あり得ます。この場合は、次の要件を満たすことで出国税の納税が猶予されます。

①相続により株式を取得した非居住者全員が納税管理人の届出を行う(相続人が相続を知った日から4か月)
②納税猶予分の出国税額(所得税額)に相当する担保を提供する(相続人が相続を知った日から4か月)
③相続人が提出する被相続人の準確定申告書に納税猶予を受ける旨を記載する(相続人が相続を知った日から4か月)
④毎年、相続人が継続適用届出書を提出

なお、非上場株式を担保提供する場合、対象会社が株券発行会社のときは、株券が必要となります。株券が発行されていない場合は、原則として株券発行手続を行う必要があり、手続きに時間がかかることがありますのでご注意ください。

また、出国税課税の対象となる相続人は、納税猶予の適用の有無に関わらず、相続を知った日から4ヶ月以内に出国税額(所得税額)を計算する必要があります。非上場株式の評価は、通常、相続税評価額等を参考に行うことになるため相当の時間を要することが考えられますので、株価評価など事前に準備されておくことをお勧めいたします。

2)次男が株式を相続し、長男は預貯金や不動産を相続する。

出国税対象者(Aさん)の保有株式が相続により居住者(次男)に移転した場合、出国税は課税されません。したがって、遺産分割の工夫により出国税の課税を避けることが可能です。

なお、遺言信託で株式は非居住者(長男)のものとする となっている場合は、相続発生により長男は出国税の課税を受けることになります。そのため、すでに遺言信託を作成済みの方は、見直しや場合によっては書き換えを検討されることをお勧めいたします。

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当コラムは2015年7月現在の税制に基づいて作成しており、読者の皆様のご理解を深めるために内容を簡素化している場合がございます。また、具体的な状況によって課税関係が変わる可能性がありますので、記載情報に基づいて行動される前に、弊所までご相談して頂ければと思います。

弊所では海外在住の方でもSkype等を用いてご相談を承っております。初回の簡易相談は無料ですので、こちらまでお気軽にお問い合わせください。

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