出国に伴う税金問題をズバリ解説!

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相談者:Aさん
来年(2015年)3月上旬に日本を出国してオーストラリアに移住する予定です。日本で賃貸不動産を保有していましたが、今年(2014年)8月に売却し、12月に売却資金1億円のうち7,000万円でオーストラリアの居住用マンションを購入しました。残り3,000万円は9月にオーストラリアの銀行に海外送金して定期預金にしています。

会社は3年前に定年退職をしており、日本にある資産は証券口座にある上場株式3,000万円のみです。

Q. 所得税の申告はどのように行えばよいですか?

出国日までは日本居住者ですので、全世界の所得について日本で確定申告をする必要があります。Aさんの場合、オーストラリアの定期預金から利子所得が発生していれば、日本で申告が必要です。

2014年分の所得税は、2015年3月16日が申告納付期限です。
2015年分、つまり、2015年1月1日から出国日までの所得税は、納税管理人を選任しない場合、出国時までに申告納付をする必要があります。納税管理人を選任する場合は、2016年3月15日が申告納付期限です。

Q. 住民税の申告はどのように行えばよいですか?

住民税の納税義務は、毎年1月1日に日本居住者かどうかで判断されることになります。

Aさんの場合、2015年1月1日現在は日本居住者ですので、2015年分の住民税を納付する必要があります。納付方法は、①出国までに2014年の未納分と2015年分を全て納付②納税管理人を選任して日本居住者のときと同様の納期で納付 があります。

なお、会社にお勤めの方の場合は、給与天引きの方法で、勤務先で納付が必要な住民税を一括して精算する「一括徴収」の方法をとることができます。

Q. 国外財産調書を提出する必要はありますか?

Aさんは、2015年末時点で、オーストラリアに7,000万円の不動産と3,000万円の定期預金をお持ちですので、合計1億円の国外財産を保有されていることになります。したがって、国外財産が5,000万円を超えていますので、基本的には2015年3月16日までに国外財産調書の提出が必要です。

但し、2015年3月16日までに納税管理人を選任しないで出国される場合は、2015年末時点の国外財産が5,000万円超でも国外財産調書を提出する必要はありません。

Q. 日本の証券会社にある上場株式は出国までに精算する必要はありますか?

日本の証券会社の証券口座は、基本的に、非居住者は保有できない取扱いとなっております。
そのため①出国までに全て精算(売却)されるか②常任代理人を選任して出国されることをお勧めいたします。常任代理人を選任することで非居住者でも売却などの権利行使が可能です。

なお、常任代理人サービスは証券会社によっては取扱いが無いようですので、ご利用の証券会社にご確認ください。

Q. 出国税の導入が検討されているようですが、何か気を付けることはありますか?

出国税は平成27年度税制改正で導入が検討されており、新聞などでは2015年7月から開始と報道されております。内容は1億円を超える金融資産を保有されている方を対象として、出国時にその金融資産の含み益に対して課税を行うことが検討されているようです。

Aさんの場合は、出国税の導入時期や対象資産額を勘案しますと、税制改正大綱の確認は必要となりますが、今のところ特に気を付けることはないかと考えます。

>>出国税(Exit Tax)導入の狙いは、こちらをご覧ください。

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当コラムは2014年12月現在の税制に基づいて作成しており、読者の皆様のご理解を深めるために内容を簡素化している場合がございます。また、具体的な状況によって課税関係が変わる可能性がありますので、記載情報に基づいて行動される前に、弊所までご相談して頂ければと思います。

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