非居住者の日本国内事業の税金問題をズバリ解説!

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相談者:Aさん
海外に10年以上住んでいる非居住者です。非居住者のステータスを維持しながら、日本国内で事業を行うことを検討しています。日本での課税や申告方法について教えてください。

回答:
非居住者は、原則として、日本国内で生じた所得(「国内源泉所得」といいます)について日本で所得税の納税義務を負います。しかしながら、日本国内で行う事業については、国内に恒久的施設(PE)がない限り、所得税は課税されません。

恒久的施設は、一般的に「PE」(Permanent Establishment)と略称されておりますので、以下「PE」と呼びます。

ある国にPEがある場合には、その国に営業拠点を持って事業が行っているので、その国で利益があがっているものと考えて、その国で課税されるのが一般的です。そのため、その国で事業を行う一定の場所があったとしても、市場調査を目的とした拠点や単なる倉庫の場合は、まだ利益をあげていない(そもそも利益があがらない)ためPEではない、ゆえに課税しない  という考え方になっています。

日本においては、PEは物的な施設だけを指す概念ではなく、代理人なども含まれます。外国においても日本と同様または日本より広い概念の場合もあります。

日本国内に事業を行う一定の場所がある場合、その場所で行われている活動が、国内事業の「準備的または補助的な性格の活動」であればPEには該当せず、日本で課税を受けることはありません。

国税不服審判所は、その活動が①事業の遂行及びこれによる利得の実現にとって不可欠の機能を果たし②経済的付加価値を付与する機能を持っている場合は、「準備的または補助的な性格の活動」に該当しないため、その場所はPEである、ゆえに所得税の納税義務を負う と判断しています。

出所:非居住者である請求人が行うインターネット販売において、輸入した商品の発送業務等を行うアパート及び倉庫は恒久的施設に当たるとした事例(国税不服審判所:平成23年11月25日裁決)

したがいまして、Aさんが日本国内で行う事業について、国内に事業を行う場所を設けるかどうか、また、設ける場合はその場所がPEに該当するかどうかを事前に検討することが税金面で重要です。

事前検討の結果、PEに該当する場合は、納税管理人を選任して国内事業所得について所得税の確定申告を行う必要があります。

なお、国内事業所得所得(利益)がおおよそ1,000万円超となる場合は、法人形態で事業を行うことが、個人事業よりも有利なケースがありますので、併せて検討されるのがよいかと思います。

>>非居住者の日本法人設立については、こちらをご覧ください。

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当コラムは2016年1月現在の税制に基づいて作成しており、読者の皆様のご理解を深めるために内容を簡素化している場合がございます。また、具体的な状況によって課税関係が変わる可能性がありますので、記載情報に基づいて行動される前に、弊所までご相談して頂ければと思います。

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