来日外国人の非永住者課税をズバリ解説!

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相談者:Aさん(米国籍)
米国に本社がある企業に勤務しています。2009年9月に日本法人出向のため来日し、現在まで日本国内に居住しています。日本法人からの給与は源泉徴収のうえ年末調整により課税は完了していますが、次の①~③について平成26年分(2014年)確定申告が必要かどうか教えてください。

①給与の一部が米国本社から米国口座に支給
②米国賃貸不動産からの賃貸収入が米国口座に入金
③2014年12月に米国証券会社にある株式を売却し売却益が発生

1. 非永住者課税について

日本の所得税法では、日本における住所の有無などによって、納税者を「居住者」と「非居住者」に区分し、さらに居住者について「非永住者」と「永住者」に区分しています。

ここで「非永住者」とは、次の条件に該当する個人をいいます。

居住者のうち日本国籍を有しておらず
かつ
過去10年以内において国内に住所などを有していた期間が5年以下

そして非永住者の日本での課税の範囲は、次のとおりです。

国内源泉所得
および
国外源泉所得のうち国内で支払われたもの及び国内に送金されたもの

したがって、非永住者の国外源泉所得のうち国外払いで国内に送金されない部分は、日本で課税を受けないことになります。

また、年末時点で非永住者であれば、国外財産が5,000万円超であっても国外財産調書を提出する必要はありません。

2.Aさんの場合

Aさんは米国籍の日本居住者ですので、来日してから5年以内の日までは非永住者、その翌日以後は永住者となります。したがって、2009年9月~2014年8月までの5年間は非永住者、2014年9月以降は永住者として日本で課税を受けます。

①非永住者が受ける給与は、国内において勤務することに対する報酬と考えられます。したがって、たとえそのうち一部が国外で支払われていたとしても、国内源泉所得となりますので、原則として確定申告が必要です。なお、国外で支給される給与ですので、源泉徴収の対象ではありません。

②Aさんは2014年1月~2014年8月までは非永住者ですので、この期間に対応する賃貸収入については日本に送金しない限り、日本で課税を受けることはありません。これに対して、Aさんは2014年9月~2014年12月は永住者として全世界所得課税がなされますので、この期間に対応する賃貸収入については日本に送金しなくても日本で確定申告が必要です。

③Aさんは2014年12月時点では永住者ですので、米国証券会社の株式売却代金を日本に送金しなくても日本で確定申告が必要です。

3. 非永住者の特典を受けるための手続き

Aさんが②の非永住者期間に対応する賃貸収入について、日本で課税を受けないためには、2014年分の確定申告の際に「居住形態に関する確認署」を添付して提出する必要があります。

居住形態に関する確認書には、次の事項を記載します。

・氏名、国籍及び住所
・申告年度以前10年以内の各年において、国内に住所を有することになった日、有しないことになった日、住所を有していた期間
・申告年度において非永住者、永住者、非居住者であったそれぞれの期間
・申告年度において非永住者であった期間内に生じた金額
  – 国内源泉所得の金額
  – 国外源泉所得の金額
  – 国外源泉所得のうち国内において支払われた金額及び国外から送金された金額
・その他参考になる事項

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当コラムは2015年2月現在の税制に基づいて作成しており、読者の皆様のご理解を深めるために内容を簡素化している場合がございます。また、具体的な状況によって課税関係が変わる可能性がありますので、記載情報に基づいて行動される前に、弊所までご相談して頂ければと思います。

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