日本の居住者であれば、海外口座で得た利子所得は、現地の源泉税とは別に日本でも納税の義務があります。その計算法穂を事例でご説明します。
日本の居住者であれば、海外口座で得た利子所得は、現地の源泉税とは別に日本でも納税の義務があります。その計算法穂を事例でご説明します。
海外の口座で預金利子が発生している場合には、 「利子所得」として、他の所得と合算して課税されることになりますので、申告が必要となります。 但し、海外口座の預金利子は、外貨建てであることや源泉税が控除されているケースがあることから、計算方法が違ったり、 控除の計算が非常に複雑ですので、サポートが必要な場合はお気軽にお問い合わせください。 具体的な計算方法は以下でご説明します。
現地での源泉税は、現地国での源泉税率と日本との租税条約で規定されている税率のいずれか低い方の税率が適用されますので、 国によって源泉税率は異なります。ここではオーストラリアを例にして計算方法をご説明します。
例えば、2009年4月に永住権取得のために7,000万円をNAB(ナショナル・オーストラリア・バンク)の定期預金に預け入れたとします。これは、当時の為替レートレートを1$70円とすると、100万オーストラリアドル(以下AUD)となります。
ここで、当時の金利を8%とすると、2010年4月に8万AUD、日本円で560万円の利子が付きます。現地のオーストラリアでは利子収入の10%である8,000AUDが課税されますので、72,000AUDが手取りとして残ります。
日本での課税額を計算する場合、外貨建ての利子を日本円に換算する必要があります。その場合に、適用する為替レートを決める必要があります。
① 適用レート
・TTS
金融機関からお客さんに外貨を売るときのレート(例:1AUD=84円)
・TTB
金融機関がお客さんから外貨を買うときのレート(例:1AUD=80円)
・TTM
TTSとTTBの平均値(例:1AUD=82円)
為替換算をする場合に、原則としてTTMを適用する必要がありますが、納税者としてはTTBレートを適用することが有利になります。これには継続適用という、来年からもこのレートを使用しなければいけないという縛りはありますが、TTBを使い続けて損をすることはありません。
②タイミング
どの時点のレートを適用するのか、タイミングとしては、以下の4つがあります。
(1)定期預金1年が満期になり、利子収入が計上された日のレート(原則これを適用する)
(2)利子収入が計上された月の平均レート ※今回の場合は2010年4月の月間平均レート
(3)利子収入が計上された年の年間の平均レート ※今回の場合は2010年、年間の平均レート
(4)利子収入が計上された年の年末レート
ここで、利子収入が計上された日のTTB(1AUD=80円)を適用すると、80,000AUDは日本円に換算すると640万円の利子収入となりますので、 640万円を申告書の利子所得の欄に記載することになります。
先ほどの利子収入の他に、日本での給与収入(額面)が1,200万円あるとします。給与所得控除がありますので、およそ970万円が給与所得となります。この金額と先ほどの640万円の利子所得を合算し、1,610万円を課税所得として申告することになります。例えばここで、社会保険料控除などの所得控除が合計210万円であったとすると、課税所得は1,400万円となります。1,400万円に対する所得税率は33%で控除額153.6万円を差し引くと、約300万が所得税となります。
所得税として納めるべき300万円から、外国税額控除の金額と源泉徴収税額を差し引いたものが実際に納める所得税となりますが、外国税額控除を受けるためには、画面下に載せている「外国税額控除に関する明細書」(外国税額控除の明細書 サンプル)を付けて申告する必要があります。
計算方法については添付のシートの通りとなりますが、非常に複雑になっています。従って、税務署に相談に行くか、節税したいということであれば、専門家にご相談頂くことをオススメします。
添付シートの2枚目では外国税額控除の限度額を計算しています。例えば、ここで外国税額控除の限度額が約120万円になっており、今回の控除額の64万円は限度額の範囲内となりますので、64万円を全額控除することができます。更に、今年使いきれなかった控除限度額の残りの枠56万円は翌年度以降の控除額として最大3年間繰り越すことができます。
こちらのシートの計算が非常に複雑になっています。
今回例に出したオーストラリアなどの預金利率の高い国に銀行口座をお持ちの方やその予定がある方は、預金利子が多額になる可能性がありますので、預金利子の申告漏れにはご注意ください。もし申告漏れがある場合には10~15%の過少申告加算税や延滞税などのペナルティーが発生し、追加で税金を支払わなければならない可能性があります。そういった方は、お早めに専門家にご相談されることをお勧めします。
申告漏れ、過少申告等、ペナルティの詳細についてはこちらを御覧ください
給与所得者(サラリーマンで給与収入2,000万円以下)方で、利子所得などの給与所得以外の所得が年間20万円以下の場合、確定申告は不要となります。
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