対策が不十分なままで追徴課税されている方が多いのが贈与税対策です。合法的な贈与税対策から、実際の事例までをご説明しています。
対策が不十分なままで追徴課税されている方が多いのが贈与税対策です。合法的な贈与税対策から、実際の事例までをご説明しています。
もともと贈与税というのは、生前贈与による相続税逃れを規制することを目的としたもので、相続税の補完税として位置付けられています。そのため、贈与税の負担は重くなっており、贈与額(基礎控除後)が1,000万円を超えると、最高税率50%(2015年1月1日から変更)が適用されます。
ちなみに、1,000万円の贈与と認定された場合の贈与税額は、(1,000万円-110万円)=課税価格890万円×40%-125万円(控除額)=231万円となります。(詳しい税率についてはこちら)
海外送金の際の税務リスクとして、「贈与」の認定があります。
通常、第三者間であれば、適正な金額での取引や金銭の貸し借りが多く、純粋な贈与行為自体が少ないため、「贈与」と認定される可能性は低いのですが、親子間、夫婦間での「贈与」は往々にして「贈与」の認定が行われています。特に、子供が結婚して住宅を購入する際に親が資金を援助することが良くあります。
最近は、海外に住んでいるお子さんに日本のご両親から数千万円の海外送金をして、資金援助するケースが多くなっています。住宅購入資金の援助
贈与と認定されると、贈与を受けた翌年の3月15日までに贈与税の申告と納税が必要になってきます。贈与税の税率は次の通りです。(贈与額から基礎控除110万円を控除したものが課税価格となります。)
2014年12月31日までの贈与 | 2015年1月1日以降の贈与 | |||||||
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直系尊属から20歳以上のものが贈与を受けた場合 | 一般 | |||||||
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 | 基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 | 基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | - | 200万円以下 | 10% | - | 200万円以下 | 10% | - |
300万円以下 | 15% | 10万円 | 400万円以下 | 15% | 10万円 | 300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 | 600万円以下 | 20% | 30万円 | 400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 | 1,000万円以下 | 30% | 90万円 | 600万円以下 | 30% | 65万円 |
1,000万円以下 | 40% | 125万円 | 1,500万円以下 | 40% | 190万円 | 1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
- | - | - | 3,000万円以下 | 45% | 265万円 | 1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
1,000万円超 | 50% | 225万円 | 4,500万円以下 | 50% | 415万円 | 1,000万円超 | 50% | 250万円 |
- | - | - | 4,500万円超 | 55% | 640万円 | 3,000万円超 | 55% | 400万円 |
贈与と認定されると、贈与を受けた翌年の3月15日までに贈与税の申告と納税が必要になってきます。贈与税の税率は次の通りです。(贈与額から基礎控除110万円を控除したものが課税価格となります。)
贈与税の申告・納税は、贈与を受けた年の翌年3月15日までに行う必要がありますが、申告期限後に「贈与」と認定され申告・納税する場合には、上記の本税のほか、延滞税(年率14.6%)と無申告加算税(50万円まで15%、50万円を超える金額の20%)の加算税(ペナルティー)が加算されます。なお、自主的に申告・納税した場合には、無申告加算税の税率は5%に軽減されます。
このように「贈与」と認定された場合には、本税の贈与税のほか、加算税の支払いが必要になりますので、「贈与」と認定されないように、事前に対策を行うことが不可欠となります。なお、当事者間では実際には「贈与」という認識であるにもかかわらず、形式的に金銭の貸し借りとして契約書を作成し、金銭消費貸借契約であると主張することは、「脱税」となりますので十分にお気を付けください。
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