海外送金後に税務署から「お尋ね」が届いた場合の対応方針

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7月1日から税務署の新事務年度が始まり、「国外送金等のお尋ね」の送付が本格的に始まるものと予想されます。

税務署は、国内銀行から100万円を超える海外送金(国内→海外、海外→国内の両方)の内容の報告を受けており、この報告に基づいて「国外送金等のお尋ね」を送付します。お尋ねでは、送金資金の形成経緯や使途、贈与事実や申告漏れの有無などの回答を求められることになります。税務署の狙いは、お尋ねを契機に自主申告を促すこと、また、税務調査の端緒の情報を掴むことです。

お尋ねが届いた場合の対応方針は、下記のとおりです。

目次

①事実に基づいて回答する。

2018年9月から始まったCRS(共通報告基準)に基づく情報交換により、税務署は海外口座での運用益や残高の情報を既に保有しています。事実と異なる回答や不十分な回答の場合は、追加の質問を受けたり、場合によっては税務調査に発展する可能性があります。税務調査が始まると海外関連だけでなく、国内所得についても調査の対象となりますので、長期間の対応が必要になってしまいます。そのため、事実に基づいてお尋ね回答書を作成し、証拠資料を添付して提出するのが望ましいです。

ご自身での対応が心配な方は国際税務に詳しい税理士に相談されるのが安全かと思います。

②税務署指定の期限までに回答する。

お尋ねの法的位置付けは税務調査ではなく行政指導ですので、回答期限を経過した場合や回答しない場合でも特段のペナルティはありません。しかし、その場合は、税務調査に発展する可能性がありますので、期限までに回答するのがよろしいかと思います。回答期限に間に合わない場合は、お尋ね記載の税務署担当官にその旨を連絡するのが安全です。

既にお尋ねの回答期限を経過してしまった場合は、国際税務に詳しい税理士に対応方法について相談されるのがよいかと思います。

③申告漏れがある場合は申告する。

お尋ねをきっかけに、海外所得や海外資産の申告漏れがあることに気が付いた場合は、お尋ね回答書と併せて期限後申告(修正申告)をするのがよいです。お尋ねの段階で申告すれば、自主申告となり加算税の軽減・免除を受けることができますが、税務調査の段階になると加算税の軽減・免除を受けることができません。

海外所得や海外資産に関連する所得税・贈与税・相続税の申告納税義務の範囲、時効の考え方は、近年の頻繁な税制改正により非常に複雑ですので、国際税務に詳しい税理士にご相談ください。

お尋ね回答書の具体的な書き方は、こちらを参考にしてください。

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当コラムは2019年6月現在の税制に基づいて作成しており、読者の皆様のご理解を深めるために内容を簡素化している場合がございます。また、具体的な状況によって課税関係が変わる可能性がありますので、記載情報に基づいて行動される前に、弊所までご相談して頂ければと思います。

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